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『コインロッカー・ベイビーズ』読了。

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)
村上 龍
講談社
売り上げランキング: 113,558

たぶんこれが一番好きな本。
久しぶりに読み返したので記録メモ。
何回も読んでるから話わかってるしなー、でもちょっと読んじゃおうかな
で結局読んじゃうのがセオリーw

いろいろネタバレしてるんで読もうと思ってる方はお引取りを。





村上龍の本は結構読んでて、
コインロッカー・ベイビーズが一番好きなんだけど、
一番読んでるのはデビュー作の限りなく透明に近いブルーかも。
薄いからさくっと読めちゃって、たぶん一番読んだかな。
あんな危険な青春は一切送ってないんだけれどもw

それから半島を出よも最後まで完成度が高くて面白かった。
(龍の本って時々尻すぼみだよねw)
5分後の世界にしてもそうだけど、龍の描く戦闘描写ってほんっとにすごい。
昔カフェで半島を出よを読んでた時に、
仲間が次々に死んでいくシーンがあって
そこでたまたま店内にジョン・レノンのイマジンが流れて
まるで映画みてるような気持ちになったの覚えてるw

というわけで一番読んでもないし、最後が微妙で完成度も高くないと思ってるんだけど(おいw)
それでもやっぱりコインロッカー・ベイビースが一番好きだなー。
正直自分でもなんでこの本が1番好きなのかわかんないw
初めて読んだ時、懐かしい気もしたし、こんな本よんだことない!って気もしたし。
出版が1980年で自分が生まれる前に出来た小説なのに、古臭く感じないし
今でもむしろ前衛的にさえ感じる。

登場人物もみんな魅力的だし。
あとがきで金原ひとみが読んだあとかすかな全能感があるみたいなこと書いてたけど
ほんとにそう。
なんか読んでるとなんでも出来そうな気がしてくるんだよね。
たぶんこの本自身が持ってる熱量がすごくてそういうの、読み手にも流れてくるんだと思う。

それから日常のなかにある狂気、というか狂気の中にある優しさが印象的で
キクが和代を海外に連れていってあげようと思うところとか、ハシが桑山に
サングラスを送ってあげようと思うところとか、そんな普通の優しい思考と狂気の共存が、
親しみと近寄りがたさの両方をつくりだして、すごく魅力的。

大好きなのがヒロインのアネモネ。
ブレねーw
いつ読んでもどこまで行っても彼女だけはブレないw
彼女はただ景色がかわるだけだから、旅行が好きじゃない。
アネモネはちゃんと自分が何が欲しいかわかってる。
現実の世界でもそうだけど、確かにどんなに遠くに行ったって、
自分が何がしたいのか、なにを望んでるのか
それがわからなかったら、どこに行こうとも何も変わらない。
距離を稼ぐってことが自由になるってことじゃないんだよね。
アネモネは「ワニの王国はわたしのくちの中」って言ってて、そこがすごく象徴的。
何事も結局答えは自分の中にしかないと。
とにかくカッコいい女。
ハシがずっと外の世界を探し求めてた「音」も、ずっと見つからなくて
すべてを遮断して自分と向き合ったときに初めて見つけたし。
そういう意味ではハシだけがずっと探し続けてたのかも。

よく視野を広げて、なんていうけど、時々自分を見つめて掘り下げることで
逆に新しい世界が見つかるかも。
まぁ自分を見つめるなんて楽しい行為じゃないからあんまりしたくないけどね。

なんだか長くなったけど、読ませる文章力で楽しめるってことでw
グロとか暴力が苦手な人は読まないほうがいいと思うおけど、
まぁそれ以上にキレイなものが時々光ってる感じがする。

こうやって考えるとエンタメ要素は強いけど結局生粋の純文学だなと改めて思う。
ガゼルの描き方もめっちゃ象徴的だし。

きっとまたそのうち読み返す。

by aquarium-night | 2013-06-11 18:01 |


進捗ダメです。


by ぱん

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